この感覚が、誰かと共にあることの最低限の倫理感覚だろう。お互い様に私とあなたは分かり合えない。それでもなお、共にいることに尊さがある。違いだけを共有している化物たちの「明かしえぬ共同体」(ブランショ)。
人間というものは、自分自身の秘められた真実にとりつかれていて、それは自分の中で育ちその人間を化物のようにしてきた。互いに化物のように見えるが、そう見る本人もまた実はやはり内に秘められた自分だけにしか通じない(すくなくともそう思いこんできた)ところの真実を抱き、あがき、何かのきっかけがあったら爆発しようとしている。彼らは何かのきっかけがあれば、しゃべり出す、相手がおれば相手にしゃべりはじめる。といったって、それはモノローグである。彼らは一度も対話というものをしたことがない。だから相手から化物というふうに思われる。しかしこれはお互いさまのことだ。お互いさまのことだ、ということをカンで分かっているものたちは、化物のあつい気持ちを理解することができる。
(アンダソン)
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アンダソンのこの化物についての話と同じバイブスの曲。
好きだったな。
伝えたところで自分だけ理解者
考えててもそんな気にしちゃいないさ
わかりきった発言は察してくれ
どうしたってしょうがない、お前はお前
(s.l.a.c.k.「孤独少年」)